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インプラントの骨造成とは|種類・期間・費用・リスクを専門医が徹底解説

蕨市の歯医者、蔵元歯科医院です。

「骨造成が必要です」インプラントを検討して歯科医院を受診した際に、こう告げられた経験はありませんか。

聞き慣れない言葉に、「追加の手術が必要なのか」「費用がさらにかかるのか」「本当に安全なのか」と不安になる方は少なくありません。中には「牛や豚の骨を使うと聞いた」と驚かれる方もいます。

結論からお伝えします。骨造成は、骨量が不足している症例でインプラントを長期安定させるために必要不可欠な処置です。そして正しく知れば、怖くありません。

この記事では、インプラント専門医の立場から、骨造成の定義・目的・術式の種類・費用・成功率・リスク・術後の腫れへの対処法まで、患者さんが本当に知りたい情報を正直にお伝えします。

 

骨造成とは何か?なぜインプラントに必要なのか

骨造成(こつぞうせい)とは、インプラントを安定して埋め込むために必要な顎の骨量・骨幅が不足している場合に、骨を補い再生させる外科的処置です。英語では「Bone Augmentation(ボーン・オーグメンテーション)」と呼ばれ、世界中の歯科医院で行われている標準的な術式です。

インプラントは直径3〜5mm程度のチタン製人工歯根を顎の骨に埋め込む治療法です。インプラント体の周囲に最低でも1〜2mmの骨が存在している状態が長期安定の条件とされており、骨の厚みが4mm未満・高さが8mm未満の部位では多くの場合に骨造成が必要と判断されます。

 

顎の骨が減る仕組み(骨吸収)

歯周病や歯根破折など何らかの原因で感染・炎症が起きると、骨は吸収してしまいます。

また歯は骨に直接植っているのではなく、歯根の周りには歯根膜というのもがあり、それを介して歯は植っています。感染・炎症が起きていなくても、歯を抜いてしまうと歯根膜もなくなりそれと共に骨も吸収します。

 

骨造成をしないままインプラントを入れるとどうなるか

高度に骨が吸収している部位でも、元々骨の量が多くある方の場合には骨造成を行わなくてもインプラントが埋められる場合もあります。しかしその部分だけ歯が長くなってしまうことがあり、審美的に問題が出てしまっていたり、周りの歯列と調和が取れず清掃生に問題が出ることがあります。

 

骨造成の種類と術式

骨造成には複数の術式があり、骨の不足量・不足の方向(水平・垂直)・部位・患者さんの全身状態などを総合的に判断して最適な方法が選ばれます。主な4つの術式を解説します。

 

GBR法(誘導骨再生法)

骨が吸収してしまい、インプラント体を埋めるには骨の幅や高さが足りない場合に、骨を造成させる治療となります。

サイナスリフト(ラテラルアプローチ・クレスタルアプローチ)

上顎には上顎洞と呼ばれる、鼻につながった骨の空洞があります。そのため上顎洞に近い部位にインプラント治療を計画した際、インプラント体を埋める時にに骨が足りなくなってしまう場合があります。

その場合には、上顎洞内に骨造成を行はなくてはなりません。主に造成方には2種類あります。

①ラテラルアプローチ

治療予定部位の頬側の骨に穴をあけてそこから人工骨などの骨補填材を埋めて、上顎洞内に骨を造成します。

②ソケットリフト

治療予定部位のインプラント体を埋める穴から人工骨などの骨補填材を埋めて、上顎洞内に骨を造成します。

自家骨移植

GBR法と同様に骨が吸収している部位に行います。主に自分の下顎の歯の生えていない奥の部分から骨を採取して、インプラント治療予定部位に移植します。

 

骨造成に使う材料(骨補填材)の種類と安全性

骨造成で使われる「骨補填材」には複数の種類があります。「牛や豚の骨を使うと聞いたが本当に安全か?」というご質問を多くいただきます。

正直にお答えしますと、実際に使います。そしてなぜ安全なのかを説明します。

 

人工骨(合成骨補填材):ハイドロキシアパタイト、炭酸アパタイト

化学合成品であり、生物由来原料からの感染リスクがありません。

異種骨:牛由来骨補填材

厳格に管理された牛の骨を長時間高温加熱してウイルスや細菌を除去しています。

 

 

骨造成の治療期間とスケジュール

「治療はどのくらいかかりますか?」は最もよくいただく質問のひとつです。

骨造成を含むインプラント治療の期間は術式と症例によって大きく異なりますが、目安として以下の表をご参照ください。

 

骨造成同時埋入 vs 先行骨造成

骨造成とインプラント体を埋める手術を同時に行う場合には造成量が少ない場合に治療期間は2から3ヶ月程度、大きい場合には6ヶ月程度かかります。

残存している骨が少ない場合にはインプラント体を埋めることができず骨造成を先行しておこなわなければなりません。そして骨ができてからインプラント体を埋めていきます。歯肉の吸収量が多い場合には歯肉の造成手術も必要となります。この場合には8から12ヶ月程度治療期間が必要です。

 

骨造成の費用

骨造成はほぼすべての場合で自費診療となります。

費用は骨欠損の大きさ・使用する材料・歯科医院によって異なります。

インプラント治療の中に含まれる処置なので医療費控除が適用されます。

 

骨造成のリスクと合併症

骨造成処置にはいくつかのリスク、合併症があります。

術後の腫れ痛み(最も多い合併症)

わずかな骨造成では、あまり腫れが出ないこともあります。しかし大規模な骨造成を行うと、ほとんどの場合大きく腫れてしまいます。この腫れは1週間ほど続くことが多いです。

痛みもわずかな骨造成では1から2日で治りますが、大規模な骨造成では3から7日ほど痛みが続くこともあります。通常は鎮痛薬を服用していただければ、痛みは気にならなくなります。

骨吸収・骨再生不全

造成した骨が完全に正着しないこともあります。人それぞれ治癒能力も違ったり、材料による特性もあります。

なので骨造成手術時に予定の造成量よりも多く造成手術をしたり追加の造成手術を行うこともあります。。

感染

傷が開いてしまってお口の中の細菌が造成された骨に触れて感染してしまう場合があります。

上顎洞粘膜穿孔(サイナスリフト特有)

上顎洞内に骨造成をするのに骨補填材を入れる際に上顎洞の内面にある上顎洞粘膜を持ち上げていくのですが、粘膜が破れていると人工骨が上顎洞内に漏れ出してしまい。上顎洞内に炎症が起きます。

 

術後の腫れ・痛みへの正しい対処法

「思ったより腫れた」「痛みがいつまで続くのか不安」。

骨造成後に多くの患者さんが感じる不安です。正しい経過を知っておくことで、落ち着いて対処できます。

 

腫れの経過

術後1から2日が腫れのピークになります。その後徐々にひいてきて1週間程度で腫れがなくなります。腫れが引いてきた頃にあざができてくることもあります。これも1週間程度で消えてきます。

 

腫れの冷やし方【正しい手順】

痛みがひどく冷やしたい場合には、濡れたタオルで冷やす程度にします。氷のようなもので冷やしすぎると血流が悪くなることがあるので気をつけましょう。

 

痛みの経過と対処

処置後は痛みが出ることがほとんです。個人差はありますが、1から3日は鎮痛剤の服用が必要になります。長い場合には7日ほど服用していただきます。

 

術後の生活上の注意点

骨造成後の骨の再生には数ヶ月かかります。

この期間の過ごし方が成功率を大きく左右します。

 

食事

手術当日は麻酔が切れたら、飲酒はできませんが普通に食事をしていただけます。しっかりと栄養をとっていただき、治癒能力をあげましょう。

喫煙

喫煙により歯肉の血流が悪くなり、傷口が開きやすくなり、感染リスクがたかくなります。

喫煙は控えていただいた方が良いです。

運動

手術当日は運動は控えましょう。血流が良くなり、出血・腫れ・痛みが出やすくなります。入浴の同様に血流が良くなるので、シャワー程度にしましょう。

口腔ケア

手術部位は傷口を糸で縫っているので、歯ブラシが当たらないようにしましょう。傷口はうがい薬で消毒をしていただきます。

 

こんな方に骨造成が必要【セルフチェック】

以下に当てはまる方は骨造成が必要と判断される可能性があります。

ただし最終判断はCT検査の結果と担当医の診断によります。

 

・抜歯から時間が経っている

抜歯してから時間が経ち骨が細くなっている場合には骨を造成しなければならない場合があります。

・歯周病の既往がある

歯周病で抜歯をした場合には、抜く時点で骨が吸収しているのでその骨を再生しなければならない場合があります。

・入れ歯を長期間使用していた

入れ歯を長期間装着していると、骨が圧迫されて吸収してくることがあります。その場合は骨の造成手術が必要になります。

・上の奥歯にインプラントを希望

上の奥歯にインプラント治療を予定すると上顎洞が近く上顎洞内に骨造成しなけれなならない場合があります。

・前歯部にインプラントを希望

前歯部では審美性を向上させるために骨造成、歯肉移植が必要な場合があります。

 

 

まとめ、骨造成は「正しく知れば怖くない」

骨造成は適切に行われれば、骨量不足という制約を乗り越えてインプラント治療を長期安定させられる有効な選択肢です。

一方で術者の技術・経験・術後管理が成否に大きく影響します。

「骨造成が必要です」と言われたら、術式・リスク・費用・期間について担当医から丁寧な説明を受け、納得した上で治療に進んでください。

 

セカンドオピニオンを求めることも、大切な選択のひとつです。

 

【免責事項】
この記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個々の患者さんへの診断・治療指針を示すものではありません。

骨造成・インプラント治療については必ず専門の歯科医師にご相談ください。

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