「骨が足りないのでインプラントはできません」
そう言われた瞬間、治療の希望が断たれたように感じた方も多いのではないでしょうか。
しかし、骨量不足はインプラント治療の「終わり」ではありません。骨造成をはじめとする複数の対処法があり、多くのケースで治療は可能です。
この記事では、なぜ骨が不足するのか・どの程度の不足なら対応できるのか・どんな方法で解決できるのかを、蔵元歯科医院の専門医が具体的にお伝えします。
他院で断られた方も、まずは最後までお読みください。
(関連記事はこちら:インプラントの骨造成とは|種類・期間・費用・リスクを専門医が徹底解説)
「骨が足りない」とはどういう状態か。断られる前に知っておくべき基礎知識

「骨が足りない」と言われても、何がどう足りないのかをイメージしにくい方がほとんどです。
なぜ骨が不足するのか、どのくらい骨があればインプラントが可能なのか、まず基礎から整理しましょう。
インプラントに必要な骨の量・高さ・幅の目安
インプラント治療では、人工歯根部となるインプラント体を骨の中に埋めなければなりません。インプラント体は幅が約3mの物・長さ約6mのものからあります。歯を失ってしまった部位によりインプラント体の幅や長さを決めます。奥歯の力がかかる部位になるほど太く長いインプラント体を選択することになります。インプラント体が骨の中に埋められある程度周りに骨にとり囲まれていないといけないため、インプラント体が埋める部位の骨は幅約6m高さ約8m程度必要です。
骨が不足する3つの主な原因
骨が不足する原因は、大きく3つに分けられます。
・歯周病による骨吸収 :歯周病で抜歯を行う場合、抜歯した部位を支えている骨が吸収することで抜歯に至ります。その為その部位の骨は不足することあります。
・長期間の欠損・入れ歯使用:欠損部位に入れ歯を入れていると、噛む力が持続的にかかり骨が吸収して骨が不足ことがあります。
・外傷による骨の喪失:外傷により歯だけでなく骨まで失ってしまうと骨が不足してしまいます。
骨量不足でも諦めなくていい。対処法の全体像
骨量不足への対処法は一つではありません。
骨の不足量・部位・全身状態によって最適な方法は異なります。ここでは代表的な選択肢を整理し、それぞれの特徴を把握しておきましょう。
骨を増やす方法と骨を増やす方法を使わずに対応する方法の2系統
骨量不足への対処法は、大きく2つの方向性があります。
①骨造成:骨を増やしてからインプラントを埋入する
失った組織の再生治療を併用し元あった状態にできる限り回復させるインプラント治療を行います。
②骨造成なしで対応:残った骨を最大限に活用する
完全には元通りにはならないが、審美的機能的に問題ないインプラント治療を行います。
どの方法が自分に合うかを左右する3つの判断軸
対処法の選択は、主に以下の3つで決まります。
①部位
前歯のように審美性が求められる部位、奥歯のように機能性が重要な部位など
②全身疾患の有無
手術に対しての侵襲を考慮
③治療期間・費用の許容範囲
再生治療を併用すると治療期間が長くなり・費用が高くなる
骨を増やして対応する方法、骨造成の種類と選び方
骨の量そのものを増やして、インプラントが埋入できる環境をつくる方法が骨造成です。
術式によって適応する骨不足の程度が異なるため、自分の症例がどれに当たるかを確認しておきましょう。
GBR法(骨再生の術式)
骨の高さ、骨の幅を増やすための再生手術
サイナスリフト・ソケットリフト(上顎の骨不足に対応する術式)
上顎洞に近接した部位に対してインプラント治療をおこなう際に、上顎洞内に骨を作る手術
骨移植材の種類(自家骨・人工骨・同種骨の使い分け)
骨移植材には自分の骨、人工材料でできた骨、動物の骨、人骨など様々あり部位や患者様の希望を加味して決めていきます。
骨を増やさずに対応する方法、骨造成なしの選択肢
全身疾患や骨造成のリスク・治療期間の長さなどから、骨造成が難しいケースもあります。
そうした場合でも、骨の形状や残量を活かした方法でインプラント治療ができる場合があります。
ショートインプラント 残骨が少なくても埋入できる方法
現在短くてもしっかり骨と結合するインプラント体があるので骨造成をしないで済む場合もあります。
傾斜埋入 骨がある部位を有効活用する方法
インプラント体を傾斜させて埋めることで解剖的に危険な部位や骨がない部位を避けることができます。
骨量不足の治療を成功させる条件。患者様側が準備できること
骨量不足への対処法を選んでも、患者さんの状態によって成功率は変わります。
治療前に整えられる条件は積極的に準備することが、治療成功の大前提です。
禁煙 骨造成の成功率に最も影響する生活習慣
喫煙をしていると末梢の血流が悪くなり骨造成の成功率が下がります。
糖尿病・全身疾患のコントロール
糖尿病などでは傷の治癒が悪くなる傾向があります。
歯周病の治療と口腔衛生の確立
口腔衛生状態が悪いと傷口から感染してしまうリスクがあります。
他院で断られた方へ。セカンドオピニオンで変わること
「骨が足りない」と言われた理由は、クリニックによって異なります。
設備・術者の経験・対応できる術式の幅によって、同じ骨量でも「できる・できない」の判断が変わることがあります。諦める前に、セカンドオピニオンを検討してください。
クリニックによって「できる・できない」が変わる理由
骨造成治療に・歯肉再生治療対しての技術の違いによりそれぞれの医院でできる治療が違います。
信頼できるクリニックを見分けるチェックポイント
治療の選択肢の説明、リスクの説明などをしっかりと行なっている医院が良いと思います。
よくある質問
骨量不足とインプラントについて、患者さんからよく寄せられる疑問にお答えします。
骨造成とインプラント埋入は同時にできますか?
骨の量によって決まります。インプラント体の固定ができるだけの骨がある場合には同時にできます。
骨造成をすると治療期間はどれくらい延びますか?
骨が安定するのを待たないといけないので、最低4ヶ月から6ヶ月伸びます。
骨造成の費用はどのくらいかかりますか?
自費診療になるため医院により費用が異なります。
高齢者でも骨造成は受けられますか?
年齢に関係なく、全身状態に問題なけれな受けられます。
「骨が足りない」は諦める理由にならない
骨量不足と診断されても、対処法は複数存在します。この記事のポイントを整理します。
- 骨量不足の原因と程度を正確に把握することが、対処法選択の出発点です。 CT撮影による精密診断なしに「できない」と断言するクリニックの判断は、鵜呑みにしないでください。
- 骨を増やす方法(GBR法・サイナスリフトなど)と、骨を増やさずに対応する方法(短縮インプラント・傾斜埋入・All-on-4)の2系統があります。 自分の骨不足の程度と部位によって最適な選択肢が変わります。
- 禁煙・血糖コントロール・歯周病治療など、患者さん自身が準備できることが成功率を大きく左右します。 治療前に整えられる条件は積極的に取り組みましょう。
- 他院で断られた場合でも、セカンドオピニオンで治療できるケースがあります。 クリニックの設備・術者の経験・対応術式の幅によって、同じ骨量でも判断が異なることがあります。
- 骨量は時間が経つほど回復せず、吸収が進みます。 早めに専門医に相談することが、選択肢を広げる最善策です。
骨量不足でインプラントを諦めかけている方は、ぜひ蔵元歯科医院にご相談ください。
CT撮影による精密な骨量評価のうえ、患者さんの状態に合った対処法をご提案いたします。