こんにちは。 蕨市の歯医者、蔵元歯科医院です。
「抜歯をしたあと、インプラント治療はいつから受けられるのだろう?」と疑問に思う方は多いのではないでしょうか。
インプラントは、抜歯と同時に行えるケースもあれば、数ヶ月待ってから行うケース、さらには数年後でも可能なケースまでさまざまです。
ただし、その時期や方法はお口の状態や骨の量、全身の健康状態によっても大きく変わります。
この記事では、歯科医の立場から 「抜歯後いつインプラントできるのか」 をわかりやすく解説します。
即時埋入・待時埋入・数年後の対応、それぞれのメリット・デメリットも比較しながらご紹介しますので、治療を検討されている方はぜひ参考にしてください。
(関連記事はこちら:インプラントの治療期間はどのくらい?最短・最長・通院回数まで完全ガイド)
抜歯後インプラントはいつからできる?
抜歯後にインプラントを埋入できるタイミングは、大きく分けて3つあります。
-
抜歯と同時に行う「即時埋入」
-
抜歯から数ヶ月待って行う「待時埋入」
-
抜歯から数年経過してから行うケース
それぞれにメリット・デメリットがあり、患者さんの骨の状態・感染リスク・治療の希望によって適した方法が変わります。
ここではまず、一般的な治療の流れと期間の目安を確認していきましょう。
一般的な治療の流れ(抜歯~治癒~インプラント~被せ物)
抜歯後2ヶ月から3ヶ月抜いた部位の傷が治るのを待ちます。その後インプラント体(人工歯根)を骨の中に埋める手術を行います。インプラント体が骨に生着するのを2ヶ月待ちます。その後生着が確認できたら型取りをして1から2週間ほどで被せ物が装着できます。
抜歯後の治癒期間と骨・歯肉の回復サイクル
抜歯後1ヶ月~1ヶ月半で、歯肉が治ってきて抜いた穴が歯肉で覆われます。 抜歯後半年~1年ほど経過すると、骨や歯肉が治癒してきて抜いた傷が完全に埋まります。
抜歯即時埋入とは?
「歯を抜いたその日にインプラントが入れられたら、治療が早く終わって便利なのでは?」と思う方も多いでしょう。
抜歯と同時にインプラントを埋入する方法を抜歯即時埋入と呼びます。
治療回数を減らし、見た目や噛む機能をすぐに回復できるのが大きな魅力です。特に前歯など見た目が気になる部分では大きなメリットになります。
ただし、骨や歯肉の状態が良く、炎症や感染が少ないことが条件となるため、すべての患者さんに適応できるわけではありません。
ここでは、即時埋入の特徴と注意点を詳しく見ていきましょう。
抜歯と同時に行う方法の概要
抜歯即時埋入では、抜歯した当日に抜歯部位の感染物質を除去してインプラント体を埋める手術、骨・歯肉の再生手術等をおこな方法です。
メリット(治療期間短縮・審美性の維持)
抜歯当日にインプラント体を埋める手術、骨・歯肉の再生手術を行うので通常のインプラント治療と比べ、治療回数が少なく治療期間も短縮できます。
条件が良い場合には当日に仮歯を装着することもでき、歯のない期間がなく審美性を維持することもできます。
デメリット(感染リスク・適応できる症例の限界)
感染している範囲が広い場合には、抜歯部位にインプラント体をを埋めた際にインプラント体が感染してしまうことがあり、抜歯してしばらく治癒を待ち感染物質がなくなってから手術を行わなければなりません。
抜歯からしばらく待って行う場合(待時埋入)
「抜歯後すぐにインプラントできなかったら、どのくらい待つ必要があるの?」という疑問をお持ちの方も多いです。
一般的には、抜歯から1.5〜6ヶ月程度待って、歯ぐきや骨の回復を確認してからインプラントを埋入します。これを待時埋入と呼びます。
この方法はもっとも多くの患者さんに適応でき、治療の安全性が高いのが特徴です。感染リスクも低く、骨の安定を待つことで長期的な成功率も期待できます。
一方で、治療全体の期間は長くなり、その間は仮歯や入れ歯で過ごす必要があります。
ここでは、待時埋入の流れやメリット・デメリットを整理してご紹介します。
抜歯後1.5〜6ヶ月待つ理由
抜歯部位の感染物質がなくなり歯肉が傷口を覆うのに1.5ヶ月ほどかかります。よって抜歯後1.5ヶ月は待ってからインプラント体の埋める手術や骨・歯肉の再生手術をしていきます。
当院では多くの場合1.5~2ヶ月ほどで手術をしていきますが、治癒を見ながらさらに傷が治るのを待つこともあります。
メリット(感染リスクが少ない・多くの症例に対応可能)
抜歯即時埋入と比べ抜歯後治癒期間を待ってから手術を行うので抜歯部位の治癒が進み感染のリスクが減ります。
抜歯即時埋入ができない場合には多くはこの方法で治療を行います。
デメリット(治療期間が長い)
抜歯即時埋入と比べて抜歯部位の治癒期間を待ってから治療するので、治療期間が長くなり、手術回数も多くなります。
数年経過してからのインプラントは可能?
「抜歯してから何年も経ってしまったけど、今からでもインプラントはできるの?」と心配される患者さんも少なくありません。
実際、数年が経過すると顎の骨が痩せてしまったり、隣の歯が傾いてスペースが狭くなったりすることがあります。
そのままではインプラントが難しい場合もありますが、骨造成(人工的に骨を補う処置)や矯正治療を組み合わせることで、多くのケースで治療が可能です。
「時間が経ちすぎて手遅れかもしれない…」と諦める必要はありません。
ここでは、数年経過後のインプラント治療について、注意点や可能性を解説します。
骨造成など前処置が必要になるケース
抜歯部位を放置していても骨が吸収していないこともあります。その場合は通常のインプラント治療と変わりません。
抜歯してから時間が経ってしまい骨や歯肉が吸収していても再生手術を行えばインプラント治療はできます。
どのくらい期間が空いても治療できるのか?
抜歯後何年経っていても治療は可能です。
抜歯後インプラントの治療期間まとめ
抜歯後にインプラントを入れるタイミングには、即時埋入・待時埋入・数年後の対応という大きく3つの選択肢があります。
それぞれにメリットとデメリットがあり、治療期間や成功率、見た目の仕上がりにも違いがあります。
「早く治療を終えたい」「安全性を優先したい」「何年も放置してしまった」など、患者さんごとの状況や希望によって最適な方法は変わってきます。
ここでは3つの治療法を比較表にまとめ、治療期間の目安をわかりやすく整理しました。ご自身の状況と照らし合わせて参考にしてください。
即時埋入・待時埋入・数年後の比較表
抜歯後インプラントに関するよくある質問
インプラント治療を検討されている患者さんからは、抜歯後のタイミングに関して多くの質問をいただきます。
- 「抜歯してすぐにインプラントはできますか?」
- 「ブリッジや入れ歯とどちらが良いですか?」
- 「高齢でも治療は可能でしょうか?」など、疑問や不安は尽きません。
ここでは、抜歯後のインプラントに関する代表的な質問に歯科医が回答します。
実際の治療にあたっては、口腔内の状態や全身の健康状態によって最適な選択が変わりますので、あくまで一般的な目安として参考にしてください。
前歯と奥歯で期間は違う?
前歯で審美的な回復が必要な場合には骨や歯肉の再生治療が必要となり治療期間が長くなることがあります。そうでない場合には治療期間は変わりません。
喫煙や全身疾患がある場合の注意点
喫煙者の方は骨や歯肉の再生手術の成功率が下がってしまうので禁煙をお勧めします。
糖尿病や骨粗鬆症などの全身疾患がある場合には医科の先生と対診を行いながら治療を進めていきます。
まとめ|最適な治療時期は歯科医と相談を
抜歯後のインプラントは、即時埋入・数ヶ月待機・数年経過後の治療など、患者さんの状態に応じて複数の選択肢があります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、骨の状態や歯周病の有無、生活習慣によっても適した時期は異なります。
インプラント治療を長く快適に使うためには、「自分にとってベストな治療タイミング」を見極めることが重要です。
気になる点や不安がある場合は、自己判断せず、必ず歯科医師に相談してください。
専門的な検査と診断を受けることで、より安全で確実な治療につながります。
インプラント全体の治療期間や工程については、こちらの記事で詳しくまとめています。
(関連記事はこちら:インプラントの治療期間はどのくらい?最短・最長・通院回数まで完全ガイド)